「宗教団体・アレフ」綱領

                            2000年2月4日施行

 私たちは、健全かつ合法的な信仰生活の維持ならびに社会との融和を目指し、新生の決意をこめて、ここに本綱領を制定し、広く賛同者の参加を呼びかける。

1,「宗教団体・アレフ」結成の経緯

 地下鉄サリン事件などの一連の「オウム真理教事件」(以下「一連の事件」と記す)が多数の被害者を生み出したことは、私たちにとっても遺憾の極みであり、悲しみにたえない。
 一連の事件に全く関与していなかった当時の大部分の信者は、当初、宗教法人オウム真理教が事件と完全に無関係であることを確信していたし、また強くそう望んでいた。
 しかし、その後の刑事裁判の進行につれて、宗教法人オウム真理教の信者の一部が一連の事件に関与していたことは間違いないと判明した。
 その結果、宗教法人オウム真理教の解散後に結成された任意団体オウム真理教は、1999年12月1日、一連の事件の被害者ならびに国民に対して、その道義的責任に基づき、正式に謝罪するとともに、被害者補償の実現を表明した。
 その後も、引き続き検討を続けた結果、当時の麻原彰晃代表についても、一連の事件に関与したものと思われるとの結論に達した。
 そこで、私たちは、従来の体制を解体するとともに、新たな事件認識によって得られた過去の反省や将来的な理念のもとに、全く新しい団体に生まれ変わっていくべきであると考えるに至った。
 そして、本日ここに、以下の趣旨に賛同する有志の人々に対して、新たな「宗教団体・アレフ」の結成と参加を呼びかけるものである。

2,一連の事件に対する見解と対応

(1)一連の事件は、宗教法人オウム真理教の信者の一部が関与したものと認めることができ、当時の麻原彰晃代表も関与したのではないかと思われる。
(2)本団体の会員は、一連の事件をいかなる意味においても肯定しない。
(3)本団体の会員は、一連の事件と同様の事件に絶対に関与しない。
(4)本団体の会員は、一連の事件の解決を、すべて裁判等の法的手続きに委ねる。
(5)一連の事件に関与した者で本団体への加入を希望する者は、罪を深く反省し、二度と同様の事件に関与しないことを、別に定める書面をもって表明した場合に限り、その加入が許される。

3,被害者補償

 本団体の会員は、大乗仏教の精神(聖慈愛・聖哀れみ)に基づき、一連のオウム事件の被害者に対して誠意をもって補償する。

4,違法行為の厳禁

 本団体の会員は、あらゆる法令を遵守するよう努め、無差別大量殺人行為はもちろん、人を殺傷する行為は絶対に行なわない。万一重大な法令違反を行なった場合は、本団体から除名されても異議を唱えることができない。

5,本団体の教義

(1)本団体の教義は、オウム真理教の教義のうち、古代ヨーガ、原始仏教、大乗仏教を根本とする。
(2)一連の事件に関係したと言われ、危険とされる教義(以下「危険とされる教義」と記す)は、本団体の教義として一切認めず、これを破棄する。
(3)本団体の経典は、上記教義に基づき新たに編纂され、全信者に徹底されるものとする。
(4)本団体の会員は、危険とされる教義の実践を絶対に行なわない。万一行なった場合は、本団体から除名されても異議を唱えることができない。
(5)危険とされる教義については、本団体に専門部署を設置した上、必要な検討と取捨選択を行ない、将来の危険性を可能な限り除去すべく努める。

6,崇拝の対象

 本団体の崇拝の対象は、シヴァ大神および諸仏である。宗教法人オウム真理教当時の麻原彰晃代表は、本団体においては経典の解釈者であり、教祖および代表ではない。

7,社会との融和

 任意団体オウム真理教は、全国各地で激しい反対運動にさらされ、ついには「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」等によって法規制されるまでに至った。
 本団体の会員は、これを貴重な教訓として、重く受け止める。
 そして、大乗仏教の思想を背景として、現代社会において広く理解され受け入れられるよう、平和的な対話等の手段を通じて努力する。また、任意団体オウム真理教の施設とみなされたものなどについては、地域住民の不安解消・相互理解をはかるために、施設の公開や解体・退去も含めた働きかけを行ない、いわゆる「公共の福祉」への配慮にも努める。
 さらに、任意団体オウム真理教の閉鎖的体質を改め、会員の総意に基いた民主的な組織運営、有益な外部からの指導・助言の積極的採用、被害者補償を主眼とした明朗な会計経理、活動拠点の公表等を実現すべく努める。

8,運営細則

 本団体の運営に必要な細則は、別に規約で定める。


 本団体の会員は、謙虚に過去を見つめ、本綱領の趣旨を実現すべく全力を挙げることを、ここに固く誓約する。