マイトレーヤ元正大師の特別寄稿

第27回 アクエリアス時代の教団をつくるために 最新版


 今回はシヴァ大神祭と銘打ち、サマナの皆さんに集まっていただきました。このシヴァとは最高の精神、最高の意識、すなわち、マハー・ニルヴァーナを表わしています。そして、帰依を重んじるのがシヴァ大神の系統の修行者といわれていますが、シヴァ大神に帰依をするということは、究極的には、どういう意味なのでしょうか。それは、シヴァ大神の本質である、最高の精神、マハー・ニルヴァーナとの合一、最高の四無量心の獲得にほかならないと思います。
 もともと、帰依とは四無量心と不可分です。いかなるグルも、その心の本質は広大な四無量心なのですから。特に、救済者の救済者、真理勝者の中の真理勝者である、シヴァ大神への帰依は、とりわけ、四無量心・救済のお手伝いの実践、大乗の実践ということになります。
 そこで、本日は、教団が今後どのように救済活動を進めていくのかに関して提言をしたいと思います。

1 今年に入って、教団は、内外の問題に対応して、いろいろな改革を行なってきました。1月に、アレフ新体制が始まり、定期的な師・リーダー会合が始まり、光音天修行が始まり、そのあと、アストラル・テレポーター配備の拡充、テレビ電話説法の開始、財施部や支部の集中セミナー、7月には、賠償契約の締結、第1回サマナ大会が開かれました。これらの実現に尽力された、サマナの皆さんすべてに感謝します。

2 さて、教団の建て直しは、第2段階に入るべきだと思います。これまでの改革は、基本的にシステム的な改革で、今後の改革は、教団の理念とか、一人ひとりの精神面に関するもので、それはより本質的な改革を行うべきだと思います。これは我々一人ひとりの意識の引き上げに直接かかわってくるものです。そしてこれをこなせてこそ、初めて教団は本当の意味での教団らしくなる、そして、21世紀にその展望を開くことができると思います。

3 まず、最初に教団の未来ヴィジョンとして、アクエリアス時代の未来宗教をつくることを掲げたいと思います。取りあえず、これをアクエリアス計画と呼びたいと思います。
1)もともと、この教団の目的は、アクエリアスの時代の未来宗教の創成でした。それは、宗教と科学が合一され、科学が解脱・悟りを助けるシャンバラのような世界を地球に現出することでした。

2)そして、その未来宗教の形成が夢ではない時代が来たというのが最近の科学技術の発展状況と、歴史分析からわたしの得た結論です。まず、現在、宗教と密接にかかわる情報技術などが飛躍的なスピードで進歩しており、情報技術革命と呼ばれています。宗教は、教えという情報がポイントですから、情報技術の革命とともに、大きな改革が宗教側にも起こるということがいわれています。グーテンベルクの活版印刷の発明の後、聖書が民衆にもたやすく手に入る状況が形成されて、民衆一人ひとりが直接神の教えが書かれている『聖書』に接することを基本とする宗教改革、プロテスタントが登場し、資本主義を支える勤労の精神が成立し、イギリスの産業革命、アメリカへの移民などが触発され、新しい時代につながりました。こうして、情報技術の革命が、宗教革命、そして社会の改革につながっていったのです。

3)今回の情報技術革命は、アクエリアス・天王星の象位であるコンピューター技術を土台にしており、まさにアクエリアスの時代の到来を予感させます。そして、アクエリアスの時代が、人が神々に至る、黄金の時代であるとの考えもあって、精神と科学が合一した理想郷の実現の期待がここで開けてくるわけです。

4)情報技術革命によって、布教手段、教化手段、イニシエーション手法の革命的改善が実現されることでしょう。これについては、特別寄稿の中で既に書いたとおりです。

5)高度情報化社会は、同時に宗教・精神的なケアが求められる時代になります。というのは、一億総半病人とか、ストレス社会ともいわれ、精神が荒れている状況の中、さらに悪質な情報の洪水が人々の心をけがすからです。今年は、犯罪総数、少年犯罪の数などが大幅に増加しましたし、離婚、家庭内暴力、幼児の虐待、切れる子ども、登校拒否などが増加しています。人間が情報氾濫に付いていけないのではないかという予測がされています。

6)その中で、アメリカなどをはじめとして、以下に人々の心を癒すためのいろいろなサービスが増えています。未来学の本でも、心の産業の時代、宗教の時代、精神科学の時代を言う知識人が増えてきています。これは、明らかに宗教と科学が合一する、アクエリアスの時代の予兆ではないかと思います。

7)我々アレフは、科学技術を応用した様々なイニシエーションの伝統があり、また、人材などの面でも、情報技術の優れた人の多さなど、科学と宗教を合一させる資質(カルマ)が十分にあると思います。

8)我々は、旧守的にならず、勇気を持って、この新しい時代において先陣を切らねばなりません。それは、アクエリアスの未来宗教が求められている背景に一つに、チベットのような伝統宗派が衰退しており、21世紀を支えることができないだろうという考えがあるからです。大宇宙と人体の小宇宙の相関関係を前提にすると、アクエリアス・天王星時代の宇宙エネルギーの特性と、完全にマッチした宗教こそが、この時代を支えることができるということでしょう。古いものにとらわれていれば未来はありません。教団は大きな視点からものを考え、常に進歩的に未来に向かわなければなりません。

4 第2に、技術的なことではなく、精神面の改革についてのポイントをお話ししたいと思います。というのは、アクエリアスの時代の象意は、人が神々になる時代とされています。『聖書』預言にも、阿修羅が神々に進化する示唆があります。

 特にこの教団は、人間として生まれた人間のカルマに加え、阿修羅のカルマが強く、ここ数年の流れの中で、その阿修羅の悪い方のカルマが表面化した面があります。よって、そのカルマを徹底的に切ることが今後の進化のポイントだと思います。

1)そのためには、まず、大乗の法則の中核原理である、「四無量心の実践こそ真の幸福への道である」という大原則を記憶修習すべきだと思います。エゴの心を放置しておくと、苦しみは増大するばかりの結果になるからです。

2)次に、自分たちにしっかりと当てはめた形で、大乗の基本的な教えである「六つの極限」の実践をなすべきだと思います。これは、自分たちに当てはめて、自分たちの課題を意識しながら実践すべきです。

@布施の徹底
 四無量心の獲得には、貪りを捨断し、利他に基づいた布施の極限がベースに来る。
 そして、実際、現実の世界で、布施による利他の実践をせず、四無量心の瞑想をしているだけで四無量心が付くわけがありません。
 財施では、財施と、法則・イニシエーション、アクエリアス計画の進行は不可分の関係にあるのだから、できるだけ財施をし、できるだけ救済を進めようと思念し実行すべきです。また、経費節減・物欲捨断にも気を配れば、その分、真理・救済のため使うことができます。これは内ワークの人もできる実践です。
 次に、気を付けなければならないのが、法友などへの「安心施」です。教団が阿修羅のカルマによって、和合の欠如を来す一因に、安心施の徹底の欠如があります。安心施の実践をするには、悪口、両舌の捨断、正しい称賛の実践といった口のカルマの統御が必要です。財施、法施に加え、「安心施」を教団の課題とするべきです。
 法施としては、支部活動はもちろん、他の部署の人でも準備と意欲があれば、導きの実践をするべきだと思います。また、指導層は、説法の充実に励むべきだと思います。教団全体でこうするべきだと思います。

A持戒の徹底
 持戒においては、サマナの最大の課題が、口のカルマです。悪口、両舌が多いのは、これは阿修羅のカルマです。これから、自分たちが進化しなくてはならないのだから悪口を言うのは大きなマイナスです。
 というのは、悪口の背景には、嫉妬心・闘争心があって、相手の進歩・幸福を嫌うため、自分の進歩・幸福に対しても否定的、悲観的になります。もう少し突っ込んで言うと、「あいつは駄目だ」という感じで批判する場合、それは、自分の相手に関する過去の「経験の構成」にとらわれて、相手を否定的に判断しています。そして、相手の成長の可能性を認め、願う心がありません。こうして、経験の構成にとらわれると、自分の進歩についても、自分の過去の経験の構成にとらわれるから、自分の欠点を修正したり、新たな長所を具足することに否定的になります。進歩したければ、他人についても自分についても経験の構成にとらわれず、常に他人も自分も努力によって進歩できるのがカルマの法則なのだと考え、他を安易に否定することを避け、他の進歩を願い(慈愛)、他の進歩を見たら正しく称賛するべきだということになります。
 また、悪口、両舌、そして称賛の欠如によって、和合できなくなるのが阿修羅です。和合できない故に、教団全体の力が落ち、それが一人ひとりの不幸となって返ってきます。それは去年の教団の動きを見れば十分分かるはずでこれから学ばなければなりません。
 綺語が多いのも、堕落した意識の現われです。神々に進化したくても、綺語はその人の神秘性を損ないます。綺語の多い人は、だれも聖者だと思わないでしょう。口のカルマを超えれば、ヴィシュッダでエネルギーが漏れなくなり、アージュニァー(天界)以上に届き、徐々に、至福と神秘力を得ることができるはずです。
 また、身の悪業については、性欲の破戒がぽつぽつありますが、これも、異性との無駄話から生じるプロセスです。綺語も異性も無智のカルマである。また、殺生・盗みはあまりないでしょうが、盗みはなくても、諸々の貪りの捨断に注意し、布施の徹底をするべきです。

B忍辱の徹底
 阿修羅には、動物的カルマがあります。それは、苦しみを嫌がるということです。その根本は、今の楽を求める無智です。「現在の怠惰は将来の苦しみにつながる」、「カルマは必ず変わるから早く落としてもらった方が得である」という点を記憶修習すべきでしょう。
 これに関連して、過去における自分の不幸を、他人のせいだと錯覚して、恨み続けるのも、動物的カルマです。すべては自己のカルマの浄化であり、永続しないし、また、他人にしても昔と今とでは違い、過去の状態は永続しないという面があるのに、過去の経験の構成へとらわれ、恨み続ける。
 また、他人のせいにすることができなくなると、今度は、自己嫌悪・卑屈に悩む。これも、自分の経験の構成へのとらわれ。今までがどうであれ、努力によって自分を変えていくことができるのだから、卑屈に悩む意味は全くないと考え、未来のためになすべき事をこつこつなすべきです。インスタント思考にならずにこつこつと。

C奮闘努力の徹底
 奮闘努力の徹底は、阿修羅のカルマに関連づけると、卑屈さ・否定的意識・意識堕落を捨断する面がある。卑屈とは、「自分はできない」というより、「自分を変えるだけの努力はしたくない」という心が背景にあります。奮闘努力してカルマを超えることが、長期的には真に楽になる道であると記憶修習すべきです。
 また、奮闘努力は、当然、慢の捨断にもなります。また、嫉妬も捨断します。自己の努力に集中する人には、嫉妬はあまり起こらない。他人を見習い、奮闘努力すれば、いずれは同じ状態を得ることができると考えるからです。

Dサマディ・智慧の徹底
 サマディの徹底は、光音天修行・日々の行法の徹底がかかわってきます。ただ、これは、前段階の四つの極限の実践の自然な結果でもあります。例えば、教義上は、(布施と)持戒の徹底が進めば、教団の神秘性、霊性も向上し、自然と高い経験をする人も出てきます。

5 最後に、教団の精神面の改革には、何といっても師以上の人、リーダーのレベルアップが第一だと思います。上層部がしっかり団結し、自分たちが率先して見本を示さなければならないでしょう。そのためにいろいろな取り組みを行ない、リーダーの守るべき規定を定め、師のステージの変更や、師未満の者のステージの昇降も視野に入れて、規律を強めなければならないと思います。
 今や、外圧もだいぶ弱まってきたし、そのストレスが言い訳にはなりません。事件以来の混乱の中で、本来リーダーにふさわしくない言動があっても許されるような、なあなあの、ぬるま湯状態は、もう終わりにしなければなりません。なぜならば、今教団が、精神的に上向し始めなければ、21世紀の未来の発展はないと、わたしは断言できるからです。 2000年の今、21世紀になって後悔しないためには、アクエリアスの教団になるための、真剣な精神的改革が必要です。さもなければ、教団は、霊性と精神性の向上を進めていく団体になれず、単なる生活共同体に堕するだろうし、いくら待っても救済されることなどありません。
 よって、わたしは重大な危機感を持って皆さんに訴えます。我々は重大な岐路に立っています。今、未来に向かって、奮闘努力し始めてこそ、21世紀に、アクエリアスの未来宗教として生まれ変わり、多くの衆生を利する明るい展望が開けるのです。
 人は、何をするにしても成功するためには、必死に努力する時期が必要です。奮闘努力してこそ初めて本当に何かを体得できるのですから。よって、今こそ、堕落した意識を払って、真の努力を始めるときです。

6 この目的のために全教団は団結すべきだと思います。「分裂すればできることはほとんどなく、団結すればできないことはほとんどない」という有名な言葉があります。また、阿修羅から天界に上がるポイントの一つは団結です。そして、それが安心施であり、持戒の実践であり、法友に対する慈愛の実践でもあります。財施部の人たちで導きを始めようとしていますが、そもそも財施部、支部、その他内ワークといった境は、崩され、部署間の交流・協力が促進され、皆が宗教活動を、財施を、修行を考えてよいのではないかと思います。そのために、部署横断的なリーダーの会合を行なったり、従来財施部担当だった正悟師の方にも宗教活動を担当してもらうのはどうかと思います。
 皆さん一人ひとりも一致団結して、阿修羅のカルマを切り、神々に進化しながら、未来宗教の形成に大きな功徳を積んでください。教団全体の功徳が高まるときに、皆さん一人ひとりにも自然と神々の祝福が与えられることでしょう。

7 東京の支部道場ができたときは、天に稀に見るほどの大きな虹がかかったそうです。虹は、人間と天界をつなぐ橋であるともいわれ、また、密教では、有名な著作である『虹の階梯』の名前にも使われているように、人々が神々に進化していく段階、五仏・真理勝者方の発する光の色と関係しています。この神々の祝福の吉兆に感謝し、教団は真に人間から神々に進化する道を力強く歩まなければなりません。