マイトレーヤ元正大師の特別寄稿

第6回 サマナは団結しよう!

 サマナは団結して煩悩=マーラを教団から追い出すべきだ、と第1回目に述べたが、今回はその点について、もう少し加えたいと思う。

 団結がいかに重要で、分裂がいかに望ましくない結果をもたらすかは、歴史上も枚挙にいとまがない。

 現代最強の国家アメリカの経験した唯一の敗戦は、ベトナム戦争であるが、その原因は国内の反戦運動である。大日本帝国にもナチスにも打ち勝ったアメリカが、アジアの発展途上国に苦杯をなめたのは、自国内の分裂だ。ベトナム戦争に関与したケネディ大統領の有名な演説の中に「団結すれば、できないことはほとんどない。分裂すれば、できることがほとんどない」という言葉がある。

 冷戦で共産主義側が敗北したが、その際も中国とソ連の対立があった。一方日本とアメリカはよく連合し、政治通の人たちの中では、アメリッポン(日米共同体)と言われることさえあった。

 日本が植民地にならず、インド・中国が植民地になったのは、日本がインド・中国と違って、国内分裂がなかったからである。真実、国の分裂が植民地化をもたらすことを懸念し、第15代将軍徳川慶喜は、薩長との武力対決を途中で断念し、江戸城の無血明け渡しに至った。

 豊臣家が滅び徳川の時代になったのは、豊臣家の内部分裂が原因だ。世にいう天下分け目の関ヶ原の戦いは、豊臣家が二つ(東軍・西軍)に割れて行なわれたもので、豊臣対徳川の戦いではない。

 天界が阿修羅に対して勝率が高いのは、天界の住人は一致団結、協力して戦うが、阿修羅は闘争心があり、「俺が俺が」という感じで、団結して戦うことができないからだと尊師も説いていらっしゃる。

 教団の今後も、いかに教団のサマナが救済のために協力し合い、団結するかによるだろうと思う。我々の敵は、マーラ=煩悩である。煩悩の根本は、自と他の区別(根本無智)である。これはまさに分裂をもたらすものにほかならない。サマナ間の和合を阻む、慢・嫉妬・闘争心・卑屈・邪悪心などはすべて、自と他の区別に基づいた心の働きである。

 我々は、我々の心の中に煩悩=マーラの侵入を許してはならない。互いに団結し、助け合い、マーラの侵入を防がねばならない。

 部署内でも、部署間でも、協力を深めて欲しい。救済のために、互いに奉仕し合うようにしてほしい。教団からマーラを追い出すことは、すべてのサマナの利益にかなう。

 和合するためには、他人の行為が自分のカルマの現われであることを、よく記憶修習しなければならない。気に入ることも気に入らないことも、すべて自己が過去に他になしてきたことがそのまま返ってきているのだ。

(1)他人に傷付けられても、それは自己のカルマを落としてくれたと考え、 (2)軽蔑したくなる他人を見ても、実は自分もそのような要素があると考え(あるからこそ、そういう人に出会う)、反面教師としてとらえて自戒し、 (3)優れた他人は、自分の見本であると考えるべきである。カルマを落としてくれる人・反面教師・見本となる人etc. 皆味方である。我々の心が味方を敵にしている。敵と錯覚しているだけなのだ。唯一の敵は、煩悩=マーラである。これがカルマ・ヨーガの考え方である。すべての人を友・教師・助力者にしよう。